イタリア語をきちんとお勉強

イタリア語名詞の性別を見分ける方法

 

イタリア語のすべての名詞には、男女の性別があります。

日本語の「友だち」ということばは、性別に言及しないニュートラルな意味があります。ところが、イタリア語では、

  • amicoアミーコ 男性の友だち
  • amicaアミーカ 女性の友だち

といった具合に、性別を明らかにしないと「友だち」という単語自体を使うことができません。

また、イタリア語には現実世界では性別が分類できないモノや概念を表す名詞にも、文法上の性別があります

  • cucchiaioクッキアーィオ スプーン、 bicchiereビッキエーレ コップ(男性名詞)
  • forchettaフォルケッタ フォーク、 cucinaクチーナ キッチン(女性名詞)

では、どのように名詞の性別を見分けることができるのでしょうか?

かんたんな基準がある一方、ちょっとややこしい基準があるのも事実……。けれど、恐れるには足りません!

名詞の性別は一定の法則にのっとって分類できることがほとんど。1つひとつの単語を丸暗記しなくてもちゃんと覚えることができます。

さあ、それでは、順番に見ていきましょう。

 

語尾から見分ける

イタリア語で男性名詞と女性名詞を見分ける基本は、まず語尾の形を見ること。

この語尾ならば男性名詞!といった一定の法則があります。

それでは、1つひとつ見ていきましょう。

男性名詞 - o 、女性名詞 - a

まずは最初の大原則から。

イタリア語の多くの男性名詞は - o で終わり、女性名詞は - a で終わります。つまり、 - o で終わる名詞はほぼ男性名詞、 - a で終わる名詞は女性名詞と判断できます。

Esempi

男性名詞: gattoガット オス猫、maestroマエストロ  男性教師

女性名詞: gattaガッタ メス猫、maestraマエストラ  女性教師

それぞれ男性名詞は – o で終わり、女性名詞は – a で終わっています。

上の例で挙げた名詞の性別は、人間や動物の実際の性別に合わせて変化しています。

一方次にあげるのは、現実世界では性別が分類できないモノや概念を表す名詞。こちらも文法上は、性別がきちんと分かれています。

Esempi

男性名詞: cieloチエーロ 空、dizionarioディッツィオナーリオ 辞書

女性名詞: portaポルタ ドア、nuvolaヌーヴォラ 雲

ドアはどんなドアでも、イタリア語ならば女性形。辞書は編者が女性でも、表紙が可愛らしいピンクでも男性形です。

これらの単語がなぜ男性名詞なのか、女性名詞なのか、という疑問は一旦脇に置いておきましょう。ここで大切なのは、現実世界で性別のないモノでも、名詞の語尾 - o と - a からその性別を判断できるということです。

ちょっと変わった3つの語尾

上の大原則のほかにも、名詞の性別を認識できるちょっと変わった語尾の形があります。

それぞれわずかな例外があるとはいえ、ほぼ確実に性別を判断できます。こちらもまとめて覚えてしまいましょう。

語尾が子音 → 男性名詞

イタリア語の単語は、原則として語尾は母音で終わります。

つまり、子音で終わる単語は、もともと外国語起源のことばがイタリア語化したもの。

こうした外来語は、基本的に男性名詞として扱われます(一部例外あり)。

Esempi

il filmイル フィルム 映画、 il comuputerイル コンピューテル コンピュータ、 il blogイル ブロッグ ブログ
例外: la mailラ メイル メール、la gangラ ギャング ギャング

語尾が - tà 、 - tù →女性名詞

こちらは、アクセント記号のついた母音で終わる名詞。

ことばのアクセントも語尾にあるので、大部分のイタリア語の単語に比べて独特の音感があります。

- tà や - tù で終わる名詞は女性名詞、と覚えましょう(一部例外あり)。

Esempi

la virtùラ ヴィルトゥ 美徳、 la veritàラ ヴェリタ 真実、 la societàラ ソチエタ 社会、 la novitàラ ノヴィタ ニュース
例外:il tutùイル テュテュ チュチュ

語尾が - i →女性名詞

基本的に母音 - i で終わる単語は複数形、というイメージがありますよね。

こちらは、単数形の語尾が - i となっているちょっと珍しい形の名詞。そのほとんどは、女性名詞です(一部例外あり)。

Esempi

la crisiラ クリーズィ 危機、 la tesiラ テーズィ 論文、 la diagnosiラ ディアーノズィ 診断
例外:il bikiniイル ビキーニ ビキニ

悩ましい語尾 - e だけれど……

名詞の語尾にくる母音が、それぞれの性別に呼応しているならば、単純明快。

ところが、イタリア語の名詞にはもう1種類 - e の母音で終わる形があります。語尾が - e となる名詞は、男性名詞である可能性も女性名詞である可能性もあります(いずれも、複数形は  - i となります)。

Esempi

男性名詞: animaleアニマーレ 動物、caffèカッフェ コーヒー、fiumeフィウーメ 川

女性名詞: luceルーチェ 光、serieセーリエ シリーズ、stazioneスタッツィオーネ 駅

しかし!こうした名詞にも、性別を見極められる一定の法則があります。

それぞれ見ていきましょう。

男性名詞と分かる語尾 

- e で終わる名詞の中にも、男性名詞とすぐにわかる形があります。以下の4つは、代表的な4つの語尾です。

  • - tore
  • - sore
  • - ore
  • - one

Esempi

 pittoreピットーレ 画家、 agricoltoreアグリコルトーレ 農民、direttoreディレットーレ 指揮者......

difensoreディフェンソーレ ディフェンダー、invasoreインヴァゾーレ 侵略者、 possessoreポッセッソーレ 所有者......

alboreアルボーレ 夜明け、terrore テッローレ恐怖、umoreウモーレ ユーモア......

calabrone カラブローネスズメバチ、salmoneサルモーネ サーモン、mammoneマンモーネ マザコン......

 女性名詞と分かる語尾

男性名詞と同様、「 e 」で終わっていても、ほぼ間違いなく女性名詞となる語尾があります。

こちらも主な4つの語尾を覚えてしまいましょう。

  • - zione
  • - trice
  • - ite
  • - itudine

Esempi

azioneアッツィオーネ 行動、produzioneプロドゥッツィオーネ 生産、stazioneスタッツィオーネ 駅......

scrittriceスクリットリーチェ 女性作家、calcolatriceカルコラトリーチェ 電卓......

 polmoniteポルモニーテ 肺炎、otiteオティーテ 耳炎、dermatiteデルマティーテ 皮膚炎......

 solitudineソリトゥーディネ 孤独、abitudineアビトゥーディネ 習慣、gratitudineグラティトゥーディネ 感謝の気持ち......

男性・女性名詞を覚えるコツ

その他、特にこれといった法則にあてはめられないものは、1つひとつの単語を覚えるときに性別も一緒に覚えてしまうしかありません。

そのとき、冠詞や形容詞を付けた形でひとまとめに音を覚えておくと、性別をすぐに思い出すことができます。

Esempi

un caffè macchiatoウン カッフェ マッキアート ミルク入りのコーヒー

la luce elettricaラ ルーチェ エレットリカ 電灯

un animale domesticoウン アニマーレ ドメスティコ 家畜

上の3つの例では、下線の引いてある名詞はいずれも – e の語尾で終わっています。

けれど、その前後についた冠詞の形や形容詞の語尾の音( –o や - a )から性別がすぐに分かります。

 

意味から見分ける

名詞の性別を判断するには、語尾の形のほかに、その単語の意味がヒントになることがあります。

名詞の意味を分類すると、男性名詞か女性名詞かが分かる場合があります。

男性名詞になる意味のことば

次の5つに意味を分類できる名詞は、男性名詞であることが多いです。

  • 実際に性別が男性の人や動物
  • 木の名前
  • 月の名前と曜日
  • 金属
  • 方角

Esempi

uomoウオーモ 男の人、 galloガッロ おんどり、 professoreプロフェッソーレ 男性の博士、 fratelloフラテッロ 兄(または弟)……

arancioアランチョ オレンジの木、 meloメーロ リンゴの木、 ulivoウリーヴォ オリーブの木……

maggioマッジョ 5月、 novembreノヴェンブレ 11月、 lunedìルネディ 月曜日、 sabatoサーバト 土曜日……

oroオーロ 金、 ferroフェッロ 鉄、 bronzoブロンヅォ 銅……

Nord ノルド北、 Occidenteオッチデンテ 西……

例外:la querciaラ クエルチャ オークの木、 la palmaラ パルマ ヤシの木、domenicaドメーニカ 日曜日......

女性名詞になる意味のことば

次の意味をもつ名詞は、女性名詞であることがほとんどです。

  • 実際に性別が女性の人や動物
  • 教科や学問分野

Esempi

donnaドンナ 女の人、 gallina ガッリーナ めんどり、 professoressa プロフェッソーレ 女性の博士、 sorellaソレッラ 姉(または妹)……

medicinaメディチーナ 医学、 linguisticaリングイスティカ 言語学、 geologiaジェオロジーア 地質学……

 

まとめ

以上、イタリア語名詞の性別の見分け方でした。

この記事で扱った基準をまとめると、つぎのようになります。

 男性名詞と判断できるもの 

  • 語尾が – o (単数形)、 - i (複数形)
  • 語尾が子音
  • 語尾が – e (単数形)、 - i (複数形)
  • 語尾が – tore
  • 語尾が – sore
  • 語尾が –ore
  • 語尾が – one
  • 木の名前
  • 月と曜日の名前
  • 金属の名前
  • 方角の名前

 女性名詞と判断できるもの 

  • 語尾が – a (単数形)、 - e (複数形)
  • 語尾が - tà 、 - tù (単・複数形)
  • 語尾が – e (単数形)、- i (複数形)
  • 語尾が – zione
  • 語尾が – trice
  • 語尾が – ite
  • 語尾が – itudine
  • 学問の名前

それぞれ例外はありますが、大多数の場合はこの基準で分類することができます。

男性名詞か女性名詞か迷ったら、まずはこのページの法則に当てはめて考えてみましょう!

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